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サナギとサナギで、pupaの話 第4回 権藤知彦×高橋幸宏(前編)

2008年7月22日

権藤知彦×高橋幸宏3回に渡ってお届けしてきたこのサナギ×高橋幸宏対談の中で、必ず話題に上がったドクトク・キャラクター、権藤知彦さん。満を持しての(?)登場です。

レコーディング、ライブと、文字通りpupaの中核を担った彼は、いわば、往時のYMOにおける松武秀樹氏のような重要な立場にあり、またユーフォニウム奏者としても、幸宏サウンドに欠かせないミュージシャンであることは誰もが認めるところですが、その人間性においては皆「?」を浮かべてしまうという、エピソード満載の突っ込まれキャラ。

この権藤さん、実は幸宏さんとの関係は、高野寛さんに次ぐ長さ。それというのも、幸宏さんの会社、オフィス・インテンツィオ所属の社員として、そのキャリアをスタートさせたからなのでした。対談は、その新人時代のお話からスタートです。

 

高橋「権藤くん、よくここまで立派になったね」
権藤「苦節12年ですから(笑)」

 

高橋 さっき知世ちゃんにさ、「このあと権藤とpupaサイト用の対談なんだ」って言ったら(※この対談は、pupaメンバー全員が集まったSPACE SHOWER TV「MUSIC UPDATE」出演後に行なわれた)、「おっ、ヤマ場ですね!」って(笑)。

権藤 いえいえ、ヤマ場はやっぱり知世さんですよ。

高橋 でも、この対談では必ず権藤くんの名前が登場するからなあ。いったいどんな人物かって、読んでる人は思っているんじゃないの。

権藤 いたって普通ですから。

高橋 普通じゃないでしょ! まあ、「じゃあ、pupaのメンバーで普通なのは誰か」といったら、それも難しい話だけど(笑)。

権藤 そうですよ。みんな変わってる。

高橋 でも、その中でもゴンちゃんは一番だと思うよ。SKETCH SHOWのときに細野さんが言ってたこと、覚えてる? 「権藤くんとは話が通じない」(笑)。

権藤 そんなこと言ってましたっけ?

高橋 言ってましたっけじゃないでしょ! SKETCH SHOWの最初のバルセロナ・ライブの頃だったと思うよ。 いくつかのライブやイベントは、やったものの、権藤くんとの本格的な仕事は、僕もまだ始めて間もない頃で、だからもちろん細野さんともやり始めたばかりで。

権藤 幸宏さんとはその前にビートニクスがありますけど。

高橋 あ、そうだっけ?

権藤 2001年のTHE BEATNIKSライブからですね。

高橋 そうかそうか。その頃はまだウチの社員で。......よくここまで立派になったね。

権藤 苦節12年ですから(笑)。でも、2000年から契約になったので、正確に言うとTHE BEATNIKSのときは社員ではありませんでしたけど。

高橋 ウチの楽器まわりのスタッフだった頃は、楽器車で弁当屋に突入したこともあったし(笑)。

権藤 そんなことはpupaに関係ないじゃないですか!(笑) いいですよ、僕個人の話は。

高橋 2回目のバルセロナでは、打上げではしゃぎすぎて怒られて、ホテルの廊下で号泣したそうだし。僕はその場にいなかったけど。

権藤 やめましょう。やめてください。

高橋 だけど社員時代からのつきあいでありながら、長い間、僕は権藤くんがどういう人間かをわかっていなかったの。

権藤 どういう人間ですか?

高橋 だから、細野さんの言う通りでね、君とはなかなか話が通じない。ただ、細野さんがそう言っていた時点でも、まだその本性はよくわからなかった。それまでは、マジメで手堅い仕事をするヤツだと思ってたくらいで。

権藤 いや、マジメですよ。今でも。

高橋 そう、仕事はマジメだよね。でも、お酒を飲むと人が変わる。

権藤 そんなことないです。

高橋 その自覚はないの? 他の現場でもいろいろウワサを聞くよ。このあいだのリキッドルームのライブの打上げでも、相当キてたし。

権藤 僕がですか?

高橋 (近くを通りかかったpupaの他のメンバーに)、ねえ、すごかったよね、この間のライブの打上げ。

高田漣 ゴンちゃんですか? あれは、すごい、というより、ヒドイ。

堀江博久 ああ、ヒドイヒドイ。

高野寛 イエローカード2枚ってところでしたね。

権藤 そんなことないですよ。

高橋 知世ちゃんも、そう言ってたじゃない。

権藤 ホントですか!?

高橋 急に反応が変わるね。ゴンちゃんは、知世ちゃんの言うことは絶対だからね。

権藤 ええ、それはもう。

高橋 レコーディング中も、肝心なところはいつも知世ちゃんの反応ばかりうかがってたし。

権藤 あとは、どうでもいいですから。......って、冗談ですよ。

高橋 だけど残念なことに、今回のレコーディングは権藤くん大活躍だったんだよね(笑)。

権藤 残念って......。

高橋 最初はみんなのスケジュールがなかなか合わなくて、僕と権藤くんとでこもって作業をしていて、そのうち、ひとり、またひとりとメンバーが入れ替わり立ち替わり参加し始めても、いつもこのふたりは一緒で。

権藤 そうでしたね。

高橋 これはもちろん僕の考えではあったんだけど、必然的に権藤くんにかかる比重が大きくなっていって、後半は、ミックス作業を権藤くんにまかせながら、僕も含めたその他のメンバーは、別のスタジオで並行してレコーディングを、という風になって。

権藤 ええ、そうでした。

高橋 ミックスを終えたゴンちゃんが、その音を持って僕たちのスタジオに来る。で、みんなで聴いて、あれこれリクエストを浴びせかけられて、また、打ちひしがれて帰っていくという(笑)。

権藤 いえ、周りからのリクエストはあまりなかったので、繰り返し打ちひしがれて帰ってはいませんでした。

高橋 そうだっけ? でも、プライヴェート・スタジオに戻ったゴンちゃんの様子をうかがいに堀江くんが顔を出したら、ミックスじゃなくってスタジオのドアを作ってたんでしょ(笑)。

権藤 いや、ミックスもちゃんとやってましたよ。その合間を縫って、ドアも作っていたんです。

高橋 おかしいと思ったんだよ。僕らのスタジオに来て、スタジオのアシスタントと何やら話していたかと思うと、そのスタジオにあった大きな壁紙のカタログをずうっと見てて(笑)。

権藤 「ああ、こういう壁紙もあるのか」と思ったりして。

高橋 顔は寝不足な感じでボロボロだしさ、ミックスの作業がハードなのかと思って心配してたら......。

権藤 (ドア作りを)始めると、集中しちゃうんですよね。

高橋 やっぱり、やってたんじゃないか!(笑)

権藤 それはだから、寝る時間を割いてですね......。

高橋 寝る時間を割かないでよ、大事なミックスをやってる最中なんだから。

権藤 (ニヤニヤ)。

高橋 でもね、根本の部分で、僕は権藤くんには大きな才能を感じてるの。やっぱりそれはとてもスゴイものがある。人間的にはどうあれ。

権藤 (ニヤニヤ)。

高橋 人間的にというんじゃないな、......コミュニケーションのとりかただね。そこはちょっと問題があるかも知れないけど、音楽的にはまったく信頼しているから。ミックスもマスタリングもお願いしているっていうのは、つまり、そういうことだから。

権藤 ミックスについては、本当に自由にやらせてもらって、ありがたかったな、と思います。といっても、アイディアのすべてが採用されるわけじゃありませんでしたけど。

高橋 余計なところは切っちゃう。だいたい、やり過ぎる傾向にあるから(笑)。でも、そうやって、いろいろなアイディアを盛り込むっていうことも大事なんだよ。権藤くんとは「BLUE MOON BLUE」のときからそういうやりとりをしてきて、それがわかってたから、今回もやりやすかったね。

権藤 僕も楽でした。それと、「BLUE MOON BLUE」のレコーディングがあって、ライブがあって、そのあとの美術館ツアーという流れを経て、高野さんや漣くんとのつながりも深まったと思いますし、そうした中で幸宏さんから今度のバンドのお話を聞いたので、自然なかたちで入ることが出来ました。

高橋 でも、一番仲がいいのは堀江くんなんだよね?

権藤 いや、ホリーとはこのpupaで話をするようになったんで。

高橋 え、そうなの? でも堀江くんとはSKETCH SHOWの最初のツアーで一緒だったじゃない。そのあと、LOVE PSYCHEDELICOなんかの仕事で一緒にやるようになったのも、彼の"引き"があったからでしょ?

権藤 ええ。でも、親しく話をするようになったのは、pupaのレコーディングが始まってからなんですよ

高橋 そうだったんだ。そのわりには、まるで兄弟みたいに仲良かったね。

権藤 そうですかねえ。

高橋 自覚、ないんだ......。


(後編に続く)