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サナギとサナギで、pupaの話 第3回 堀江博久×高橋幸宏(後編)

2008年7月11日

080711.jpgお待たせいたしました!

堀江博久×高橋幸宏対談、後編をお届けします。

 

「ポップというキーワードがあるとするならば、幸宏さんは、ポップ・マエストロだと思うんですよ」

 

堀江 高野さんはじめ、原田さん、漣くんとは初対面だったんですけど、もうホント、どんな人なんだろうと思ってちょっとワクワクしていて。

高橋 権藤とはSketch Show以来だよね?

堀江 そうですね、Sketch Showで出会って、ホーンが吹けてコンピューターまわりができる人ということで、権ちゃんをラブ・サイケデリコに紹介したんですよ。僕自身もSketch Show以降から、いろんなアーティストに出会ったりとかするようになって。あれは、ひとつのきっかけでしたね。2002年、でしたよね? うん、2002年でけっこう大きく変わった気がします。それがこうやってpupaにつながることになって......、それがすごく不思議な感じだし。

高橋 この、権ちゃんと堀江くんのコンビというのが、仲がいいんだか悪いんだか、よくわからないふたりで、お互いの話を全然聞いてなかったり、なんか文句言い合ってたりしてる割には、レコーディングが終わると「権ちゃん飲みにいこうよ」とかね、妙に仲がよかったりするんだよね。「楽器片づけるの手伝うよ」とかさ(笑)。

堀江 (笑)

高橋 あと、僕らの知らないあいだに権ちゃんのプライベート・スタジオにひとりで行って......、

堀江 彼が作業してる横であーでもないこーでもないって言って。

高橋 わざわざ言いに行って。

堀江 で、逆に怒られる(笑)。

高橋 てっきりレコーディングの作業をやってると思って行ったら、権ちゃんが自分のスタジオのドアを作ってたとか(笑)。またそれを報告しに、僕らがいるスタジオに来て「権ちゃんがなんかドア作ってましたよ」って(笑)。

堀江 「TD(トラック・ダウン)してるかと思ったら、ドア作ってたんですよ」ってみんなに言いに行って......。

高橋 みんなで「TDやってんじゃないの!?」って驚いて。

堀江 権ちゃんにそれを言ったら、慌てて否定してましたけどね。でも、扉は完成していて。(笑)彼の場合は......話し合ってもわかりあえない部分も多々あるんだなって。

高橋 分かり合える人、いないと思う。たぶん(笑)。

堀江 それに引き換え、漣くんはやっぱ、すごいしっかりしてますね。それでいて、ラテンの血が入ってるっていうか、こう、はしゃぎ方も明るくて。合わせてくれますしね。こっちがふざけてると一緒にはしゃいでくれる。テンポ感がいいですね、すごく。それから......高野さんは面白いですよね。

高橋 どういうこと?

堀江 面白いって言うか......なんだろう。あのー、なんか超えてる部分があるっていうか、音楽に対して向き合う姿勢、見据えてるものが確実にある。俯瞰の視線っていうか、そういうものをしっかり持っていて。で、ブレない感じっていうのがありますね。まぁ、そのブレない感じというのは、メンバー全員共通してあるんですけど。そういうメンバーが集まっているのがpupaだっていう感じはしますね。

高橋 知世ちゃんはどうだった?

堀江 原田さんは......原田さんは歌詞の早さですかね。それがまず、一番びっくりしました。「ANYWHERE」で、僕がまだ、曲の構成とかであーだこーだと悩んでるときに、いち早くメールが送られてきて、「歌詞できました!」みたいな感じで、「えー、まだ構成できてないのにー」とか思いながらも、歌のメロディーを完全にモノにして、最高の言葉をのせていただいて、歌もほんと素晴らしくて。さすがだなー、すごいなーと思って。

高橋 デモの段階の構成で、もう歌詞を仕上げちゃって。

堀江 「これでいきますよ!」みたいな。僕らのまわりだと、みんな歌詞で悩むじゃないですか。曲よりも。

高橋 でも、堀江くんは曲でも結構悩むよね。悩むというか、もうちょっと熟考したいというような。

堀江 悩みがちですね。

高橋 それが、僕なんかがこっちでいいんじゃない?って方向にもってってあげると、「ああ、それもありますね」って、バスッと切り替わってOKになっちゃう。逆に、あれ?今まで悩んでたのにいいのかなぁみたいな。さすがB型(笑)。

堀江 そうなんですよね。

高橋 だけど、そういうことがわかったのも、pupaをやったからだよね。今まではそんなにしょっちゅう会っていたわけじゃなかったし。

堀江 初めて会った頃、Sketch Showのツアーで、夜、ホテルの部屋でみんなでトランプやりましたよね。あれがすごい思い出深い......。

高橋 小山田くんなんかも一緒に。あと、うちでカニ・パーティーやったりとかね。

堀江 あ、はい。

高橋 カニの概念が変わるっていうくらいの美味しいカニを食べさせてやろうと思って......。

堀江 カニ食べました。いただきました。

高橋 ......やっぱり、去年のミカバンド以降だよね。レコーディングで一週間くらいずっと一緒にいたから。でも、こうして一緒にバンドでレコーディングやライブをしてみても、僕から見た堀江くんってのは、初対面と今とあんまり変わってないんです、実は。まあ、もちろんこれまで知らなかったことが少しずつわかってきたっていうのは、あるんだけど。あの......、まず、お酒が飲みやすい。

堀江 酒は強くなりました(笑)。

高橋 最初の頃から考えると、強くなってきたよね。

堀江 すっごく強くなりましたよ! この成長力は(笑)。僕が幸宏さんと一緒にバンドをやってみてわかったのは、......えーと、ポップっていうキーワードがあるとすると、幸宏さんの場合は、ポップマ・エストロだと思うんですよ。音だったりとかファッションだったりとか、そういうところにあるポップというものに対する嗅覚が、なにしろすごいと思って。なかなか言葉では伝えづらいキーワードではあるんですけど、それが僕の中で明確になりましたね。

高橋 堀江くんたちとは、「この曲をどういう方向にもって行こうか」っていうようなことをフラットに話ができる。世代を超えて普通に話ができるじゃない。それって重要だよね。それと、一緒にレコーディングを進めていく中で、ある程度まかせてもいいんだということもわかって。今回は、「この曲をまかせてみたら、堀江くんだったらどうするだろう」とか、楽しみがすごくあった。それもバンドっぽくて。バンドって、やっぱりほらさ、メンバーそれぞれが「俺、オレ」みたいなとこってあるでしょ。でも、このバンドはわりとそれがない。まぁ、こっそりやろうとするやつもいるんだけど(笑)。そこは、上からそっと押さえこんで、みたいな......。

堀江 他のメンバーに対する遠慮もあると思いますけど、主張もちゃんとあって、だから、そのバランス加減がすごい、いいですね。そう、バランスっていうことでいうと、僕、pupaはわりと家族っていうか、兄弟として考えるんですよね。幸宏さんは、やっぱり一番上のアニキで長男で、次男が高野さん。権ちゃんが三男で、四男坊が僕なんですよ。で、末っ子が漣くんで。で、漣くんと権ちゃんと高野さんはアニキのバンドを手伝ってるんだけど、四男の僕は、プラプラプラプラしてて、みんなから「家の仕事手伝え!」って怒られて(笑)。で、原田さんは長女なんだけど、結婚したのが早くて、今回は家に戻ってきて、一家(pupa)を手伝うっていうストーリー(笑)。四男坊はのんびりしてて、プラプラしてて、外国とか行っちゃったりとか(笑)。わりと自由なんですよ。で、もちろんアニキにリスペクトがあるんだけど、今まで好き勝手にロックとかやったりとかして(笑)。アニキが音楽やってるとこも実は好きだったりして、内緒で見に行ったりして。

高橋 遅く生まれた子だから、長男とはそうとう歳.が離れていて(笑)。でも、ブラブラしてばかりっていうけど、堀江くんは結構苦労することに労力を惜しまないタイプだよね。出し惜しみはしないっていうか。ただ、何か重大事態が発生するとパニくるだろうなっていう感じもする。「院長、どうしましょう?!」って電話かけてきそうな(笑)。これが権藤くんの場合だと、絶対パニくらなきゃいけないようなところで、まったくパニくらなそうなんだよね。「なんで俺に連絡してこないんだ!」っていうと、「いや、できると思ったんで」なんてシレッとしてそうな。

堀江 マスタリング終わってNYからあがってきたpupaのアルバムの音を聴いたときに、何かこう情景が浮かんだんですよね。「幸宏さんが最初にpupaっていうバンドやろうと言っていたときのイメージっていうのはこういうことだったんだな」と思えるような。それから、「あぁ、音を聴いて、情景が浮かぶってこういうことなんだ」とか思って。もちろんそれは、幸宏さんの音だけじゃなくて、他の人の作品からでもやっぱりそれぞれの絵が浮かんできて。こういう時間の流れ方、すごし方っていいなっていうふうに思えて。60分間の、ほんとロード・ムービーを見てるような感じっていうか。「さすがー!」と思って。そこではじめてつながった感じがしました。レコーディング途中は、ほんと暗中模索で。はい。ずーっと悩んでたりとか。

高橋 マスタリングででこぼこ感がなくなって、非常に統一感がとれたところがあるね。もともとの曲はもっとでこぼこ感があって、それが何か、ストーリーの起伏みたいな感じもあって良かったんだけど。

堀江 でも充分流れがありますよ。レコーディング中、幸宏さんからロード・ムービーって単語がすごいよく出てて、そういう情景の浮かぶアルバムだっていうことを話されてましたよね。実際、出来上がった1曲1曲が映画の1シーンのようで。

高橋 僕はね、曲作りのはじめは、昔っから映像のイメージからなの。詩は後から無理矢理考えるというか。それはたぶん、バート。バカラックとかあのフランシス・レイとかがひとつのルーツになってるってことが大きいかも。彼らの映画音楽からの影響。映像が曲を発想するときのもとになっているということはあると思う。

堀江 そういうことを、レコーディングの終わった夜にお酒を飲みながら話されていて。その時点では実感としてはよくわからなかったところもあったんですけど。というのも、僕はわりと絵画になぞって考えてたんですね。一枚のキャンバスにたとえて、そこにこう、好きな色を好きなように塗ったり、というイメージ。

高橋 まず下書きがあって、みたいな。

堀江 はい。キャンバスっていうものが最初にレコーディング素材としてあって、そこに色を塗っていく。それはときに抽象画であったり、具象であったりして。

高橋 なるほどね。それでいうと僕はやっぱり映像、動く画だね。『Blue Moon Blue』の頃あたりからずっとそうなんだけど、その日レコーディングした音を深夜のテレビの、あの、BSとかでただ風景だけが流れてるようなのあるでしょ。あれにその音を合わせて聴いてみたりして、「ああ、合うなぁ」とかってやったりして。

堀江 そんな話を飲みながら朝の4時くらいまでして、お店を出てタクシーを待っているあいだにふと空を見ながら、「ああ、まだ明けてないんだな」なんて思って。そこでふとメロディが浮かんだりして。だいたい酔っ払ってるときに曲を書いたっていう(笑)。僕が書いた3曲ともそうでした(笑)。