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サナギとサナギで、pupaの話 第2回 高田漣×高橋幸宏(後編)
2008年5月 8日
高田漣さんとの対談、後編をお届けします。
「歌ありきのバンドですからね。それこそ、コーラス・バンドと言ってもいいくらいの。歌える人がこれだけいると、ハモを重ねる作業がすごい楽しかった」
高橋 今回のメンバーの中では、漣くんはしっかり者だよね。
高田 そんなことないです!
高橋 一番若くて一番しっかり者。それは知世ちゃんも言ってた。
高田 そんなことないですよ(笑)。全然そんなことないんですけどね。
高橋 高野くんについてもね、僕はもう20年以上もつきあっていて、しかも彼のプロデュースもしたことあったのに、ああいう人なんだってことが最近やっとわかった。
高田 以前<B型のイベント>というようなものにも一緒に出演したこともあるし、何度か一緒にやったりとかしていても、これまではあまり高野さんはB型っぽくないなと思ってたんですけど、今回やってみたら、「やっぱ自分と同じだ」と思って(笑)。
高橋 はっきりしたね(笑)。
高田 僕が一番びっくりしたのは、家からスタジオにギターを持ってくるっていうときに、「そのとき自分の一番近くにあったものを持ってきた」というのを聞いて(笑)。それと、持続力かな。僕もそうなんですけど、なんか、あるところまで来ると、急にその集中力が切れちゃうんですよね。
高橋 ぽーん!とどうでもよくなっちゃう。
高田 それと、そもそも発想の時点でちょっとすでに、他の人とはちょっと違ってる部分があったりして、作業を続けていく途中で、自分でそれに気づいたとしても、なんかやめられないんですよ。「あれっ?」と思ったとしても。
高橋 ミュージシャンはみんなそういうとこあるけどね。誰も気にしていないような細かい部分が気になって延々と、それこそ、10時間でも12時間でも歌入れとかやってたもの。昔、若い頃は。
高田 ところが、肝心なところでざっくり途切れちゃうんですよ。
高橋 それB型のせいだけじゃなくてこのpupaのあの4人が......(笑)。
高田 そうですね。4人揃うとすごいですからね。
高橋 高野くんはね......すごく真面目に、人を無視するんだよね。
高田 (爆笑)。
高橋 ブースの中から弾き終えて、コントロール・ルームに帰ってくるじゃない。で、まあ、どんな感じだったとかなんとか話すよね。じゃあ、次、知世ちゃんコーラス行こうかっていって、知世ちゃんがブースに入っていくでしょ。でも高野くんは、その後も、今やったのはああだったこうだって話を続けてるの。知世ちゃん、向こうで待ってるのに、ずっと話してるわけ。で、「高野くん......、待ってるよ」って(笑)。で、今度は漣くんがスタジオに入って演奏初めても、高野くんはずっと誰かとしゃべってるの。いや、そのときは高野くんだけじゃなかったな。僕が、「ねぇねぇ、漣くんさっきからずっと弾いてるけど」って言うまで、全員無視(笑)。
高田 ありましたね(笑)
高橋 本番なんだよ、それ。同じフレーズを、誰も何も言わないから漣くんはずっと弾いてるわけ。
高田 そうでしたね。しかもすごい難しいパートだったんで、他のパートを聴かずに、クリックだけを聴いてるんですよ。もう、いつやめていいかもわかんなくて(笑)。
高橋 変拍子だしね。
高田 往々にして、そういうことは多かったですね、今回のレコーディングは(笑)。
高橋 そういうところを仕切ってくれるのが高野くん、というイメージがあったんだけど、わりと率先してそっちに行っちゃうんだよね、すーっと(笑)。
高田 いや~、僕もそうですよ。放っておくと、そっちに行っちゃう。それも真面目にそっち行っちゃうんですよね。不真面目にやっていてそうなるわけじゃないんだけど。
高橋 やっぱり血液型の性格分けは正しいんだと思ったね。
高田 幸宏さんと知世さんは、コントロール・ルームにいても、基本的にはわざと一歩後ろにいるっていうか、あまり率先して仕切るということではなく、なんかあったら、手を出すっていうか、声を出すっていう役割だったでしょ、お二人とも。そうすると、誰かのプレイに対して最初の言葉を発するのは、だいたいB型になっちゃうんですよ。
高橋 だから、知世ちゃんの歌入れだけは、僕がディレクションしたの。A型同士で(笑)。あれ、B型メンバーがやったら大変なことになる......サジェスチョンも結構きつくなりそうだし。
高田 でも、結局は幸宏さんに何か言ってもらわないと収拾つかないんですよね、やっぱり。ただその、面白かったのは、なんていうのかな、変わったアイディアもいっぱい出てるんですよ、なんか変な、普段だと、自分でも考えられないようなことがぽっと出てきたりするから。
高橋 僕の知らないあいだに知らない音が入ってたりね。いつ入れたの?これ?って。
高田 僕らが渡したものに、権藤くんと堀江くんの作業がなされたものが返ってくることが多かったんですけど、聴いてみると、結構びっくりすることが多かったですね。気が付くとあれ?っていうこともいっぱいあったし。僕が聴いてないはずの、今までなかった音もいっぱい入っていたし。でも、それがまた面白かったですよ。なんかスタジオで全員でいると、いい意味で盛り上がって、こう、一個の方向にいきそうですよね。それが、いったん権藤くんのスタジオに移ってミックスされて返ってくると、そこにはどうしても温度差ができる。だけど、それが、逆にすごい、つきつけられるっていうか。まぁ、行き過ぎちゃってるときは修正するけど。
高橋 いい部分もあったりするんだよね。あぁなるほど、こういうふうな解釈やってみたのかって。でも僕はね、だいたい否定するんだ、一回は(笑)。
高田 (笑)。
高橋 でもね、三回目には必ずすごくよくなるの。二回まではね、まぁまぁかなっていう(笑)、というか、君、ちゃんと聴いてたの、このあいだ言ったこと!っていうぐらいにもれていることがあったりするんだけど、三回目でいきなり全部が直ってる、みたいな。
高田 権藤くんの意識として、たぶんその、最初の時点では、歌よりもほかのものに、どうしてもこう、いきがちだと思うんですよ、そこが彼の......ポップスの人っていうよりもやっぱり、もうちょっと違う......。
高橋 オケの方に力が行っちゃう。
高田 そうなんですよね。だから、どうしてもボーカルが後ろに聴こえちゃうっていうか。
高橋 でも、出来上がってみたら、今回のアルバムは歌がでかいね。それと、ある程度できあがったところで僕が思ったのは、これはちょっと、おなかいっぱいだぞ、と。
高田 ああ。
高橋 いろいろな要素が入りすぎて、どう考えても満腹感が強すぎる。曲数も含めて。で、みんなに言ったのは、ここから引き算というか、ちょっと省く作業に入ろう、と。
高田 ホント、最後の最後、ぎりぎりになってでしたけど、ある程度できて並べた時点で、やっぱりちょっとそういう感じはしましたね。
高橋 新しい音も、たくさん入ってると、全然新しく聴こえなくなっちゃうんだよね。すごい大作主義のようになっちゃってたから、切れるとこは全部切っちゃおうと思って。でも、それが大正解で。
高田 だから、ライブではそのオリジナル・バージョンというか、長いバージョンになることもありえますよね。
高橋 ありえるありえる。そうしようと思ったらいくらでもできる。あの中に入っているマテリアルで、もう一枚分くらいのデータがあるんじゃないかっていうくらい。最初、僕、二枚組みにしようかなと思ったもの。
高田 そうですね。その出さなかった音とか、出さなかったバージョンってだけでも、もっと違うものになると思いますよ。あと、あのオケも、なんというのかな、リミックスっていうか、リミックスというよりもDUBに近い状態で聴きなおしてみたりすると、きっと全然また違ったものに聴こえるでしょう。たぶんね、出来上がったものを聴いてもらったときの印象よりも、その構造はかなりやっぱり緻密っていうか、こう、タペストリーみたくなっているから、普通に聴いてるだけではわかんない個々のパートがいっぱいあるんですよね。
高橋 だから、ライブでそのあたりがどれだけ出せるかだよね。ただ、そういうこともあるけど、まずはpupaのスタイルというのかな、それを決めたいよね。6月2日はその小手調べというところもある。
高田 歌ありきのバンドですからね。それこそ、コーラス・バンドと言ってもいいくらいの。そうそう、今回のレコーディング作業をやっていておもしろかったのは、歌える人がこれだけいると、ハモとかがすごい楽しくて。いつもは一人でばかりでしょ。コーラスを重ねていて二声を越えあたりで面白くなくなってきちゃうんですよ(笑)。もうあとは、同じ声がただ詰まれるだけだと思うと、全然面白くないというか。それがこのバンドだと、それぞれ違った質感の声があって、で、この人とこの人が組み合わさるとこういう倍音がでるとかっていうのがいっぱいあるから、すごい面白くて。そういうところをやっぱりライブでも......。
高橋 僕はすごいポップにしたいんだよね。キュートでポップで、新しいっていう。pupaはそれだと思うんで。ただ実験的なことやってるだけっていうバンドじゃないし。あくまでもちゃんとポップスであり......。
高田 そのとおりですね。基本的にやっぱりポップなバンドなんだと思うんですよ。もちろん実験的な部分もあるんですけど、基本的にはやっぱり、歌のバンドっていうか、歌のバンドって言うとおかしいな、なんて言ったらいいのかな、奇をてらった演奏をしているバンドではないと思ってるんですよ。だからそんなにこう、変わったものだと思わずに、聴き始めて欲しい。聴けばすぐわかってもらえることだと思います。メンバーがメンバーだけに、たぶん前評判だと、ちょっとその、エレクトロニカ色が強いんじゃないかとか、っていう印象があるんじゃないかと思うんですけど、ま、そういう要素ももちろんあるんですけど、幸宏さんが以前からずっと言っていた、エレクトロニカなんだけど、ちゃんと歌があるっていうか、それに歌をのせたらこうなるんじゃないかっていう、そういう感じっていうか......。
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