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サナギとサナギで、pupaの話 第1回 高野寛×高橋幸宏(前編)
2008年4月 1日

昨秋以来、極秘裏に(ってわけでもないんですが)進められてきたpupaレコーディング。
これまで、ほんのさわり程度しかレポートすることができていませんでしたが、先日、正式発表もされたことだし、これからはじっくりとそのナカミを紹介していきましょう。
とはいえ、レコーディングのよもやま話をただレポートするってーのもつまらないし、第一、そのドクトクな音楽世界を文章に起すのはなかなかのハードルの高さ。
ここは当事者たるメンバーのみなさんに語っていただくのが一番!ということで、"リーダー"高橋幸宏と、その内容について(ときどき寄り道しながら)対談してもらうこととあいなりました。
メンバーがいっぺんに集まると収集がつかなくなることが予想されるので、おひとりずつのご登場、その第一回は、今年デヴュー20周年を迎えた、幸宏とは縁浅からぬ存在の、高野寛さんです。
「このバンドでの僕と高野くんの関係は、病院でいうところの院長と副院長。できれば院長先生じゃなくて副院長先生お願いしますっていう人が多かったりする(笑)」
高野 僕は長いあいだずっとひとりっきりでやってきたので、少し前から人と一緒にやるっていうことに興味があって、そういうことを探ってきたんです。自分だけで作るのではなく、誰かとやるっていうことで、自分の世界が広がっていく、そのことがとっても面白かった。そこでは単純にプレイヤーとしてやっていた部分もあって、それが自分の表現ていうことにどうつながってるか、なんてことはあんまり深く考えないでやってきたんですけど。
幸宏 GANGA ZUMBAなんかでも、そう?
高野 GANGA ZUMBAでは曲もつくってるんですが、基本的には僕はギタリストの立場なので、自己表現というよりは宮沢君のヴォーカルが生きるようにという意識でやってますね。それからGANGA ZUMBAの場合は、国際的なメンバーとやる面白さとか、外国でプレイするっていう経験っていうのがすごく刺激的で、外国語を勉強するみたいに一からブラジル音楽を勉強したりもしたんですけど、おかげでずいぶんギターがうまくなって(笑)。今回のレコーディングの時間短縮にも一役かってると思うんですが(笑)。
幸宏 こうしてまた高野くんと一緒にやろうということになったきっかけは、一昨年の『Blue Moon Blue』のツアーからだよね。そこに高野くんと(高田)漣くんに参加してもらって、そのときの感じがとても良かったことで、去年の横浜でのHASにも入ってもらうことになった。
高野 そう。幸宏さんに誘ってもらってまず思ったのは、やっぱり自分のオリジナルっていうかルーツに直結してるとこがあるから、プレイするときに無理がないというか。すごく自然にプレイしていて。その後にHASをやったら、そこでまた、高校一年生のとき以来の自分の中のスイッチが、またひとつ入ったような経験があって、それはクリエイトするとか表現するってことの厳しさとか、面白さとか、そういうものを目の前に突きつけられた感じがして。ただ音楽やってればいいんじゃないんだってことをね。少し器用になりかけていたようなところがあったんだけど、なんていうんだろうな、アートとか、忘れかけてた言葉ですけど、アート、そう、アートっていいなって思いましたね。いまどきそんなことが言える現場はあんまりないんじゃないかと思うんですよ。ほんとに、音楽の世界の中でね。
幸宏 今、「プレイするときに無理がない」っていうのがあったけど、それは僕もおんなじ。とにかくあのソロ・ライブのときに、すごくやりやすいメンバーだなと思ったの。Pupaのひとりである権藤くんも含めてね。だから、はじめにPupaを構想したときから、高野くんの存在は欠かせないと思っていた。
高野 いや、誘ってもらったのは嬉しかったですね、やっぱり。ちょうど去年の横浜のあとに"表現"ということをすごく意識するようになっていた時期だったので、なんかこう、自分というものを一番出せるようなバンドになるんじゃないかなと思って。
幸宏 年齢でいくとメンバーの中でも高野くんはちょうど中間になってくる感じで、まぁ僕が飛びぬけて高いということもあるかも知れないけど、30代、40代、50代っていうバンドなんで、だからそういう意味では、簡単に言うと「番頭さん役」ですかね(笑)、病院でいうところの副院長っていうか。
高野 (笑)
幸宏 実質上、副院長がいろいろ指示することが多かったよね。院長は手が震えたりするんで(笑)。できれば院長先生じゃなくて副院長先生お願いしますっていう人が多かったりする(笑)。それにしても、今回のメンバーはみんな面白い。全員がものすごく特徴があって、個性があるアーティストだなってことが本当にわかった。高野くんの曲は、やっぱり明らかに高野くんなんですよ、ちゃんと。だけど、それをみんながいろいろと、あーだこーだって言いながら手を加えていくと、高野くんの世界にプラスして、なんか違う、文字通りバンドの音になっていく。僕の曲も例外じゃなくてね、よくもまぁこんなにいじってくれるって言いいたくなるくらいのものもあるんだけど(笑)、でもやっぱりそれがバンドの良さで、いい意味のテンションの高さと、いい意味のゆるさ?があって、楽しかったね。スケジュール的には大変なとこもありましけど。レコーディングのほとんどに立ちあって、最近の、たとえばHASYMOのレコーディングなんて、夕食を終えるとそろそろ終了って感じだけど、pupaのメンバーは、みんなまだ体力あるから夜中まで作業するでしょ、で、家に帰って詞を書いて、と、体力的には結構しんどかった。でも、まぁ、なんというのかな、リハビリしてたところがあるよね。心の。
高野 メンバーそれぞれ、なんか縁がある人ばかりで。幸宏さんとはもちろん長いつきあいだし、知世ちゃんも昔からの知り合いで、漣くんも細野さんのバンドで一緒にやったり、権藤とも実はだいぶ以前からの関係で(笑)。堀江くんはわりと初対面に近かったんだけど、全然そういうのを感じない(笑)。
幸宏 感じさせないよね、確かに。
高野 だから、僕なんかはじめは遠慮のようなものもあったかもしれないんですけど、......堀江くんたちがあまりに自由なので(笑)。
幸宏 でも、期せずしてB型が集まったね。僕と知世ちゃん以外みんなB型なんて。ちょっと多すぎる(笑)。
高野 確かにね。4人同時にあつまったときが若干問題(笑)
幸宏 そこに僕がいなかったりすると、結構すごいらしいよね。たまにみんなのやりとりを黙って見てるんだけど、ここで何か口出さないと、放っておいたら大変なことになっちゃうぞっていうときがあって(笑)、それが楽しいですね。
高野 なんか不思議な、バンドっていうか......まぎれもなくバンドなんだけど、普通のバンドと成り立ちがかなり違うんですよね。それぞれ個人的に曲を作って持ち寄って、そこからスタートしていて、それが終盤に差しかかって、みんなでひとつひとつの曲を練り上げる作業をする時間が増えてくると、なんかこう、はじめはソロだったものがくっついてきたようなね、不思議な......。
幸宏 寄り添ってくるね、やっぱりね。
高野 新しい形だなぁと思って。今日の曲なんかも、なんかみんなで歌入れたら急速にまとまってっていう。
幸宏 実験的なこととか、クリエイティブなことっていうのは、みんなそれぞれやっている人たちなんだけど、やっぱりポップミュージックの場で、日本には無い実験の仕方、アプローチみたいなものが出来る人たちを集めたらどうだろうなぁという思いがあって。僕がやりたいことを、細かい説明抜きにしてもたぶんわかってくれる人たちをね、そしたらたまたまというか、やっぱりというか(笑)、このメンツになってしまって。メンバー選びの段階であんまり楽器にこだわらなかったせいで上物ばかりが多くなってしまったんですけれども(笑)。堀江くんもキーボーディストのようなギタリストのような、わかんないとこもあるし、そこがまた面白くて。みんなの頭ん中がちょっとわかんない、堀江くんと権ちゃん、特にあのふたりの頭の中身がときどきわからないときあって、そこがまたミステリアスで面白い。
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