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サナギとサナギで、pupaの話 第1回 高野寛×高橋幸宏(後編)
2008年4月11日
おおいに盛り上がったお二人の対談、
後編をお届けします。
「今回うれしい誤算だったのは、知世ちゃんと一緒にいても、全然女優さんと一緒にやってるっていう感覚がなくって。ミュージシャンとしての、もう確立されたものがあるんですよね。彼女の中に」
高野 世界的に見てもこういう感じのバンドってあるんですかね。
幸宏 もともと交流のあるアーティスト同士が、なんかくっついてやってたよっていうのはあるかも知れないけどね。トラベリング・ウィルべリーズっぽいかな?
高野 ぽいですよね。僕もそのこと、すごい考えてて。
幸宏 僕はロイ・オービソンってことになるのかな(笑)。できればジョージの役になりたいんだけど。
高野 じゃあ、僕がジョージで。
幸宏 今んとこそうなっちゃうんだよね。
高野 漣くんがトム・ペティ、みたいな。
幸宏 ディランがいないね。
高野 ディラン......ディランのアクの強さ、......いないっすね。
幸宏 意外と堀江くん? 権ちゃん? ふたりともドクトクではあるけどね(笑)。
高野 そう、だからなんか、バンドっていうよりもトラベリング・ウィルべリーズとかCSN&Yとかバッファロー・スプリングフィールドとか、そういう感じなのかなぁと思って。その現代版みたいな側面もすごくありますよね。
幸宏 みんな充分プロの人たちでさ、「俺たち、明日を夢見てガンバロウ」って言って始めたバンドじゃないじゃない? 今取りあえずやりたいこと持ち寄ってみて、みんなで寄ってたかって料理していって、バンド感が出てきたという。パーマネントっていうんじゃなくて不定期なバンドの良さって、やっぱあるんで。ただ実績として残るから、残るからにはいいもの作りたいってのもある。決して楽しいだけの、ノリ一発で作ったものではない。たぶんこれまでの日本のポップス史上にないタイプのアルバムができてきてるんじゃないかと思うけど。
高野 コンセプチュアルであり、それでいてどこかキュートでポップで、そして実験的。もう、全部揃ってる。
幸宏 おまけに変わってるっていう......。みんなどっかで変だよ。
高野 変ですね(笑)。それぞれのソロだと、意外にそこまでは表に出てなかったようなところが......。
幸宏 そうそうそう。極端にデフォルメして出てくるよね。そのメタモルフォーゼ(生物学的意味での変態)的な、なんかこう合わさると突然変異しちゃうような。
高野 何たってサナギですからね。
幸宏 え?こうなっちゃうんだ?っていうような驚きがやっぱり。まぁ、それがなきゃバンドやってる意味なんかないんだけどね。
高野 今回、うれしい誤算だったのは、知世ちゃんがね、むちゃくちゃミュージシャン・シップのある人で、なんか現場にも慣れてるっていうか、全然女優さんと一緒にやってるっていう感覚がない。
幸宏 そうそうそうそう。
高野 普通にミュージシャンとして一緒にいる感じなんで、いやぁすごいなぁと思って。やっぱり知世ちゃんの中に、ミュージシャンとしての、もう確立されたものがあるんですよね。
幸宏 そうそう。だってこのメンツで平気なんだもん。(鈴木)慶一とか、トーレ・ヨハンソンンとやってきたってことも大きいんだろうけど。でもね、これは推測だけど、たとえば伊藤ゴローさんたちといるときのような、居心地の良さっていうのは無いと思うんだよね、ここには。
高野 「一体、何なんだろう、この人たち」っていう......(笑)。
幸宏 そこが案外、彼女にとってはいいんじゃないかと思うんだよね。あんまり居心地のいいとこだけじゃきっと彼女もつまんないだろうし。まぁ、今やそれもだいぶ居心地良くなってきているみたいではあるけれど(笑)。最初のうちはちょっと悪かったと思うんだよ。「わかんないなー」みたいな。
高野 今はもう見切ってるかもしれないですね。
幸宏 もう、ばれちゃったからね(笑)。で実は僕たちにもばれてるじゃない? 彼女の本性......というと聞こえは悪いけど、飾らない姿っていうか。まぁ、だからパーマネントでやらなきゃ結構いい相性のバンドだと思いますよ。これ、ずっとやったらつらいかもしれない、とも思うけど(笑)。たまに集まってやる分には最高にいいんじゃないですかねぇ。
高野 うーん、......ねぇ(笑)。ホントにでもね、こういう楽しいスタジオは滅多にないですよ。うん。と思います。まったく作為がないんですよね、ここには。わりとこう、自然にみんな集まってるし、いろんなタイプの曲があるんだけど自然にひとつのアルバムになってるし、そういうところがいいですよね
幸宏 でも、昨日漣くんがブースに入ってダビングしているのに、コントロール・ルームにいる誰も指示しないって瞬間があったよね。あれはさすがにひどい(笑)。
高野 全員無視でしたね。
幸宏 僕が「いいの? 誰か止めなくて。ねぇねぇねぇ」って言うまで、誰も相手にしてないの。漣くん演奏してるのに。
高野 ほったらかし(笑)。みんなすぐに興味の対象が変わるから。
幸宏 漣くんは真剣に演奏してるんだよ?
高野 それでも成り立つ信頼関係があるんです(笑)。
幸宏 しかも、漣くんも怒んないの。
高野 そこもB型らしい(笑)。
幸宏 だいたいレコーディング後半は、しゃべってることの方が多かったね。歌入れの最中も、何か他のことをやってるし(笑)。歌入れで、僕が英語のTHはこう発音した方がいいとか言ってるうちに、だんだん日本語もみんな、THでしゃべるようになってきちゃって(笑)。「永六輔でTH(す)。セキ、声、ノドに浅田飴」って感じで(笑)。
高野 (笑)
幸宏 そんなメンバーだからってことでもないけど、ライブはね、ゆるくやりたいなと思っていて。余計な緊張感を持って練習してもしょうがないと思うんだ。
高野 そういう音楽じゃないですしね。
幸宏 そのかわり見せ方をいろいろ考えたいなぁっていうのがある。
高野 たぶんね、僕も漣くんも堀江くんも、pupaレコーディングでは、他の現場にくらべたら、いかに弾くところを減らすかっていう風にしてきたと思うんですよね。ギターふたりとキーボードとユーフォニウムがいたら、結構いっぱいになっちゃうし。
幸宏 堀江くんもギター弾けるしね。
高野 だからそういう意味では、普通のセッションのときみたいに、「楽器の練習しなきゃ」っていうのはほぼないですね。
幸宏 もうちょっとクリエイティブなことだけ考えてればいいっていうバンドなんだよね。だから、ライブの場でのコーラスとかもそれもあんまりシビアに神経質にとらえるんではなく、それよりも自分が一番大事に思っている部分をきっちりアプローチしていくってことを考えた方がいいと思う。なんか、いろいろなアイディアがいっぱい出てくるんだ。ライブ中にメンバーの立ち位置が入れ替わったり、楽器の持ち替えがあったり、なんてのもいいな、とかさ。
高野 ステージの並びとかも考えたいですね。それに、なるべくみんな、楽器のセット・アップはシンプルにするのがいいんじゃないですかね。
幸宏 うん。そう思う。それから、ライブはライブでオリジナルとはまたちょっと違う、シンプルな感じでやってもいいと思うし。オリジナルを忠実に再現しようっていうバンドにする必要もないし、またそうはならないとも思うけど。ライブをやるごとに毎回演奏が違ってもいいわけで。高野くんと久々に手伝ってもらった『Blue Moon Blue』のときのライブも、実はいろんなアプローチをしていたし。実はね、高野くんの曲でやってみたいのがあるの。
高野 ほんとですか?
幸宏 『夢の中で会えるでしょう』、やりましょうよ。あれをノイズだらけにして。ノイズといっても官能的なノイズ。静かな......静かにやるっていう。なんかね、モダンだと思いますよ、すごく。
高野 おお!
(次回の対談には、高田漣さんが登場!お楽しみに!!)
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